■「森づくり21」のコンセプト(基本的な考え方)

 自然の復元力を引き出し森林を再生させること、つまり必要上に自然に関与しないことです。
我々の作業は木材生産を目的にしていません。 ですから市販の苗木は使いません。 また、よそでつくられた苗木を植林すると遺伝子汚染や病原菌拡散の問題が生じる恐れもあります。

■本来の森林へ戻すための作業方法

【1】大きな裸地の場合

   植生の移り変わり(サクセッション)を踏まえて作業をします。

  1.ナガバヤナギの埋幹法

 裸地となった土場跡にパイオニアツリー(先駆樹種)であるヤナギ(ナガバヤナキ)を埋幹あるは埋枝し,生育を待ちます。 このヤナギが大きくなると裸地は半日陰状態になり,自然散布された針葉樹(エゾトウヒ,アカエゾトウヒ,トドモミ)の種子の生育が期待できるからです。 ただしこの方法はシカによる食害がひどいため,現在はやめました。


  2.ケヤマハンノキの寝せ植え法

 ケヤマハンノキもパイオニアツリーで,ヤナギ同様の効果が期待できます。 挿し木が効かないので,調達にやや苦労しますが,シカはあまり好きではないので食害を受けにくいとう利点があります。 また寝せて植えることにより1本の木から複数の幹を立上げることができます。 根粒菌をもつため土壌を肥沃にするという能力をもっています。


  3.鹿避け柵の設置

裸地化したところに草本や木本の種子が飛来し,生育しますが,鹿がみごとに新芽や新葉を食べます。 このためダケカンバ,ヤナギ類は盆栽になってしまい,森林へ移り変わることができません。 そこで柵によって鹿の採食圧を和らげ森林への遷移(サックセッション)を期待します。 当初は大きく裸地全体を囲っていたのですが,シカの侵入を完全に防ぐことができませんでした。 そこでシカの心理に考慮し檻の様に小さく囲っています。


 【2】ササ地の場合

 ササは降雨による表土の流亡を抑えるという大きな働きがありますが,森林への遷移を阻害するという面もあります。 それで表土の流亡を防ぐという特性を生かしながら森林へ誘導します。 侵食が予想されそうな所のササ刈りはしません。

  1.坪刈り

 針葉樹の若木を移植するためササ地を坪刈りします。 造林地では列条に刈るのですが,余分な労力と使わないようにします。

  2.エゾトウヒの分散

 ブル道脇等にエゾトウヒの若木が集中して生育しているところがあります。 ここから一部を掘りだし移植します。 ただし被圧木の移植は避けなければなりません。

  3.刈りだし

 ササ(ここの場合はクマイザサ)の生長速度ははやいので。 定期的に移植木の周辺のササを刈ります。

  4.エゾドウヒ移植木の確保

 ところどころにエゾトウヒの幼木が生育していますが,生長のはやいササやフキなどに覆われてしまいます。 これらの植物を刈り,エゾトウヒの幼木を育てて移植木にします。




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